30代、ギャンブル依存症が書くブログ

20代で多くのものを失った。30代では全てを失う気がする。

「ギャンブル依存症」という本を読んで。

www.amazon.co.jp

 

田中紀子さん著書の「ギャンブル依存症」という新書を読みました。

全体的な感想として、ギャンブル依存症当人とってとにかく勇気づけられる本だと思いました。「いつか治る」「治さなければいけない病気なのだ」と搔き立てられる良い本です。

本書を章ごとに区切って、私なりに紹介していきます。

 

第一章では、ギャンブル依存症がどういった病気なのか、いかに身近であるかという事が書かれています。ギャンブル依存症はいまや、成人の約20人に1人と言われていて、いかにギャンブル問題が深刻なのか、という事が述べられています。また、そもそもギャンブル依存症がどういった病気であるかを整理されています。本書に書かれている、ギャンブル依存症と定義される人の特徴がそのままの私で、立派なギャンブル依存症なのだと改めて認識する事になりました。

第二章では、日本で起こった犯罪が10件程掲載されています。いずれもギャンブル依存に端を発した犯罪です。もちろん、犯罪行為は決して許されるわけではありませんが、ギャンブル依存症者として、犯人の心情を少し理解することはできました。私自身、当然ながら犯罪なんて無縁だと考えてます。でも、このままギャンブル依存症の人生を歩んでいけば、いつどうなるか分からないという危機感を持ちました。今は独り身な私で、基本的に自分の資金の事だけを考えれば良い身です。でも、両親は私よりも先に死にます。兄弟や兄弟家族との関係も、色々と変わってくるかもしれません。もしかしたら、こんな私でも結婚して家族を持ちたいと思うかもしれません。色んな人間関係の変化をしていく中で、今のままギャンブル依存を背負っていると、どんな悪影響に波及していくか想像できない部分もあります。恐怖です。

そういえば少し前に、ギャンブルに負けた腹いせで車が歩行者に突っ込んだ、という事件がありました。犯人は、20代の若者でした。犯罪行為に対して同情の余地はないのかもしれませんが、心情を一部理解する事ができます。一言で言えば報道された通り、「負けた腹いせ」になるのでしょうが、自身の借金問題やギャンブルに対する社会への深い恨みが募った結果なのだと思います。そうした痛みは、私自身も犯人と同じように感じている部分かもしれません。

第三章では、ギャンブルがこんなにも身近な日本において、国内のギャンブル依存症対策がいかに脆弱であるか書かれています。精神科医の対応や受け入れ機関等の問題に代表されるように、ギャンブル依存症に対しての、社会全体の認識の甘さが詳細に記されています。

第四章では、「ギャンブル依存症」という病気がどんな病気であるのか、そして周りにいる人たちはどう向き合えば良いのかについて、詳しく書かれています。

依存症というのは周りのサポートがないと、回復が難しい病気であることを痛感させられました。また、そのサポートの方法論も重要であることが記されています。

 

以上、大まかに紹介してみました。

日本社会に点在しているギャンブル、そしてギャンブル依存症問題の全体像を明瞭に把握できるため、ギャンブル依存症について考える際に役立つと思います。

上述しましたが、ギャンブルにまつわる犯罪がいくつか紹介されており、これらは大変参考になるものでした(と同時にショッキングでもありましたが・・・)

私もこの先、きっかけ一つかもしれないな、と危機感を持つ事例もありました。明日は我が身、という感覚です。

 

依存症当事者にとっても、その家族に方にとっても大変参考になる内容です。ギャンブル依存症を知るにはまず、読んでいただきたい本です。